かき氷食べるならここ!
⑬台湾の「果物冰」
そんな達人がおすすめする、お店を教えていただく連載「かき氷食べるならここ!」。
とうとう最終回!今回教えてもらったお店は……。
大野美和(おおの・みわ)さん
編集者。1976年生まれ。高知県出身。中央大学卒。出版社アスキーを経て、現在は辞書の編集をしている。趣味は旅行と食べること。
台南の玉井青果市場でマンゴーざんまい!
最後は完全に趣味の記事。12回の連載を無理矢理、延長してもらいました。
食べることを目的として45ヶ国旅をして参りました。
かき氷のことは常に念頭にあります。
新興国に行くようになりますと、氷=生水という危険と戦わなくてはなりません。
「腹下し」と「かき氷」を天秤にかけ、各国で挑戦してまいりました。
結論として。
「かき氷は台湾に行け」
と申し上げたい。
韓国のラブリーな「パッピンス」もいいです。
ベトナムの「チェー」も素晴らしい。とくに蓮の実はGOOD。
マレーシアの「アイスカチャン」をマゼマゼするのも楽しい。
イタリアの「グラニテ」もさっぱりしていて良い。
ハワイの「ザクザクシェイブアイス」も悪くない。
でもやはり台湾です。
台湾氷は大きく分けて三種類(わたし調べ)。
■昔ながらの「古早味系」
「古早味」と書かれている氷。タロイモ団子や仙草ゼリー、緑豆盛り盛りな昔ながらのかき氷。八寶ってのが全部のせ。トウモロコシ(玉氷)のかき氷なんてものすごくいいです。あ、豆花氷も捨てがたい・・・。このへんをまとめて「古早味系」と区別します。
■見た目があがる「雪冰」
そして「雪冰」。チャーミーと呼ばれる系統で、味のついた氷を削ったもの。ネクターのような濃厚な味付き氷なのでねっとりと濃厚です。台北の士林夜市、辛撥亭が有名。
■南国満喫の「果物冰」
最後にマンゴーなどの「果物氷」。イチゴやパイナップルなんかの南国味全開氷です。
で、今回はここを深掘りしたいと思います。
台湾南部の都市、台南からさらにバスで1時間半行くと、「玉井」というマンゴーの里があります。6月から8月の収穫期には山肌一面にマンゴーの木と、袋がけされたマンゴーが延々とそして、たわわに実っています。
玉井の青果市場も同様に、緑や黄色や赤色の多種多様なマンゴーがざっくざっく。直径20センチは優に超えるアップルマンゴーが1つ50円で売られています。日本だと一個5000円とかしちゃうんだから! 天然の路地ものは味も価格も最強です。
豊かな香りに、とろける食感と過度な甘さに少しの酸味。最高か!
この季節の台湾は、最高だな!!
この盛り上がりは台湾マンゴーの父、鄭さんの力なくしてはなかったと言われています。細かくははしょりますが、鄭さんがアップルマンゴーを持ち込むまで、台湾はいまのようなマンゴー天国ではなく、ゆえに古早味系が存在します。鄭さんが根付かせた台湾マンゴーは、いまや、台湾中で愛されています。今年亡くなられてしまいましたが、いつか鄭さんと台湾マンゴーの道のりが本になるといいのになと思います。
かき氷のおすすめは三店舗。
玉井市場内にある「芒果の故郷」の芒果氷(小)。
市場の活気をつまみにマンゴーをどうぞ。
もう一軒は台南市内の「莉莉水果店」。果物屋さんのかき氷。日本円にして約700円。高いなと思うかもしれませんが、巨大です。三人くらいで食べるとちょうどいい。果物屋さんの目利きってのは、ほんとすごいですね。酸味の強い梅のようなマンゴーがコリコリしていいアクセントになっています。
最後も台南の「小豆豆鍋焼意面」。メニューを見るとかき氷がいちばんはじめに来ているのですが、みんなが食べているのは台南名物、鍋焼意麺。これがうまい。その上でマンゴー氷。最高か。練乳の具合も最高か。マンゴーの熟れ具合も最高か。これが人気店の力か。ものすごい満足度です。
混んでいますが、意麺もかき氷もテイクアウトできるので、「公園でのんびり食べる」なんてこともできます。
台北にもマンゴーの季節だけ店を開く冰讃なんてお店もあります。玉井は最高ですが玉井だけが台湾かき氷の代表ではない。その選手層の厚さにふるえる国なのです。
かき氷好きはなにを置いても台湾を攻めて欲しい。そんな思いで13回の連載、筆を置きたいと思います。
ではまたいつか会う日まで。
みなさま今日もよいかき氷を!
[紹介したお店]
玉井青果集貨場
芒果の故郷
小豆豆鍋焼意面
莉莉水果店
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