2017.10.20
ぺんたの全国おみやげ探し⑤大分

細部まで美しい銘菓『こまちみかん』

すっかり秋めいてきた今日この頃。先週はおさるになりきって『日光人形焼』を持ってきてくれたぺんたですが、今日はどうも様子が違います。むすっとした顔で入ってきて、心なしかいつもより寝ぐせも尖っているようです。何かあったのでしょうか?
ぺんた
今日は、たいせつなおはなしがあるの!
──
ど、どうしたの……ぺんた?
ぺんた
日本って、とってもいいところなんだけど、おいしいものが多すぎるの!
──
え?? いやなの?
ぺんた
ちがうよ! そうじゃなくって……おいしいからたくさん食べすぎて、おなかがまんまるになっちゃったのぉぉ~!
──
??? ぺんたはおなかがまんまるのほうがかわいいよ? というか、もともとまんまるだし……
ぺんた
……ほんとう?
──
本当、本当‼ ぺんた、まんまるでかわいい!
ぺんた
そっかぁ……でもダメなのぉ~! このあいだおともだちに、「ぺんたくん、おなかがまんまる!」って笑われたんだもん!
──
おともだち?
ぺんた
そう!
──
ペンギンの?
ぺんた
うん。
──
……ひょっとして、女の子?
ぺんた
…………
──
(真っ赤になってる……!)
ぺんた
と、とにかく、おいしいものが多すぎるからいけないの! だから今日のおみやげはナシ!
──
あ、うん……。あれ、ぺんた、何か落ちたよ?
ぺんた
あっ!
まあるいみかんが8房の最中に!
──
おー、すごい! みかんの最中だ! ちゃんと中の房の形になってるんだね! これはかわいいなぁ。食べてもいい?
ぺんた
……いいよ。
──
じゃあ、いただきまーす! ん、中のあんこもみかんの味だ! おいしい!
ぺんた
……おいしい?
──
うん、おいしい! 8房入ってるんだ。じゃあ、もうひとつ…うん、おいしい!
ぺんた
……
──
一口サイズだからいくらでも食べれちゃうなぁ。
ぺんた
……も……べる
──
ん? なに?
ぺんた
ぺんたもたべるぅ~! じぶんばっかりたべてずるい!
──
ぺんたが食べないって言ったんじゃん(笑)
ぺんた
いいの! たべるの! はやくちょうだい!
──
はいはい(笑)
ぺんた
……!!!
──
???
ぺんた
おいしい……
──
それはよかったね(笑)……あのね、ぺんた。
ぺんた
……なあに?
──
ぺんたはそのままでかわいいからね。
ぺんた
……うん。
──
「ぺんたくん、おなかがまんまる」でかわいいよ(笑)
ぺんた
ばかーっっっ!!!!!!
こまちみかん
大分みやげでもらって感動。最中1つ1つがみかんの房の形で、8個合わせてまるい形で箱におさまる。昭和40年代に国東半島の代表銘菓を作るため、島内の菓子店有志が考案したそう。現在は「たまや」でしか手に入らない貴重なお菓子。中身も、白餡にマーマレードを練り込むことで、しっかり餡もみかん風味。

○品名:こまちみかん
○店名:アキ食品 たまや
○本体600円
○住所:大分県国東市安岐町下原1375-1
○電話番号:0978−67−1948
○お取り寄せ:可
おみやげを選んでくれた人

甲斐みのり(かい・みのり)さん

文筆家。お茶どころ、静岡の生まれ。“出張族”の父の影響で、幼いころから各地の「おみやげ」に魅せられる。大学卒業後、「ご当地ならではのおみやげ」を極めるべく全国行脚をスタート。雑誌などへの執筆活動を経て、現在はエッセイストとして活躍。「手みやげ」や「まち歩き」をテーマにしたカルチャースクールの講師も務める。著書に『(文庫)全国かわいいおみやげ』などがある。
*本記事のおみやげに関する内容は、『(文庫)全国かわいいおみやげ』より転載しています。内容は、2016年12月1日時点のものです。最新情報は各店舗にお問い合わせください。
撮影 : 野中弥真人(おみやげ) / 鈴木江実子(ぺんた、本)
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