お絵かき講座①「絵のセンスがありません…」
2017.10.08
『ペンギン飛行機製作所』あてに、30代のお母さんの「清水さん」から、こんなおたよりが届きました。
「絵のセンスがありません。よく子どもに『お母さん、絵を描いて』と言われるので描いてあげると、『ちがうよ、もっとこうやって描くんだよ』と添削されてしまうんです……。今からでも、かわいいキャラクターや女の子を描けるようになる方法があるでしょうか?」
こんなお母さんの悩みを解決するには……? 『ペンギン飛行機製作所』のアイドル「ぺんた」を生み出してくれた、美大出身でイラストレーターの戸田江美先生に聞いてみよう!「戸田先生〜! 大人になってからでも、絵のセンスがゼロでも、うまくなる方法ってありますか?」聞き手は、所員の池田です。全3回でお届けします!
「絵のセンスがありません。よく子どもに『お母さん、絵を描いて』と言われるので描いてあげると、『ちがうよ、もっとこうやって描くんだよ』と添削されてしまうんです……。今からでも、かわいいキャラクターや女の子を描けるようになる方法があるでしょうか?」
こんなお母さんの悩みを解決するには……? 『ペンギン飛行機製作所』のアイドル「ぺんた」を生み出してくれた、美大出身でイラストレーターの戸田江美先生に聞いてみよう!「戸田先生〜! 大人になってからでも、絵のセンスがゼロでも、うまくなる方法ってありますか?」聞き手は、所員の池田です。全3回でお届けします!
きょうの先生
戸田江美(とだ・えみ)さん
合同会社「SKY PICNIC」所属のグラフィック/Webデザイナー。武蔵野美術大学卒業。美大生時代からコーポレートサイトデザインを複数制作したのち、「面白法人カヤック」にてゲームUIデザイナーを経験。日本人若手写真家として選抜され、NEW YORK ART BOOK FAIRをはじめとした5か国9都市のアートブックフェアに出品。イギリスと日本共同主催のフォトコンテスト「Photosbook show」に入賞しブライトンにて展示されるなど、国内外で活動している。東京都荒川区のトダビューハイツの大家。落語が好きで寄席通いもしている。
戸田江美(とだ・えみ)さん
合同会社「SKY PICNIC」所属のグラフィック/Webデザイナー。武蔵野美術大学卒業。美大生時代からコーポレートサイトデザインを複数制作したのち、「面白法人カヤック」にてゲームUIデザイナーを経験。日本人若手写真家として選抜され、NEW YORK ART BOOK FAIRをはじめとした5か国9都市のアートブックフェアに出品。イギリスと日本共同主催のフォトコンテスト「Photosbook show」に入賞しブライトンにて展示されるなど、国内外で活動している。東京都荒川区のトダビューハイツの大家。落語が好きで寄席通いもしている。
「子どもに『絵を描いて』と言われるんですが……」
池田
こんにちは! わたしたち『ペンギン飛行機製作所』は、「くらしの『不都合』を『うれしい』に変える」というコンセプトのサイトです。きょうの不都合は……「絵のセンスがゼロでも、うまくなる方法ってありますか?」ですね。清水さんは35歳の2児のママですね。ご相談をいただいて、ありがとうございます。
清水
こちらこそ、ありがとうございます。
池田
お子さんに、絵を描いてとせがまれるけれど、描いてあげると添削されてしまうというお悩みがあるんですね。これは……けっこう、くやしいですね(笑)
清水
そうなんです! 一生懸命描いているのに、なんで? って。このあいだなんて、せっかく描いたのに「お父さんに頼めばよかった……」ってぼそりと言われたんです。悲しくなっちゃって。
池田
もともと、絵を描くことはお好きなんですか?
清水
うーん……苦手だと思ったことはないんですけど。でも、会社ではまわりのみんなから「画伯」と呼ばれてますね。
池田
あっ……(察し)。それはもしかして、けっこうおもしろい絵をお描きになる?
清水
そうですね……。まじめに描いても、だいたい爆笑されてしまいます。でも、何がちがうのか、自分では全然わからないんですよ。
池田
わかります! わたしも絵心がないんですけど、何をどう直せばいいのかわからないんですよね……。きょうは先生になんでも聞いて、娘さんをびっくりさせるような絵をかけるようになりましょう!
清水
はい、がんばります!
池田
では、戸田先生〜! よろしくお願いします。
戸田
よろしくお願いします。
戸田先生。うしろにはペンギンたちもスタンバイ!
池田
戸田先生は、『ペンギン飛行機製作所』の特別所員でもある「ぺんた」を生み出してくださった方です。イラストレーターとして、本の挿絵やマンガを描くなど、活躍されています。現役で武蔵野美術大学に入学されていますよね。絵のことならなんでも聞けそうです! 絵の才能の泉から出てきた女神!
清水
すごい! 女神!
戸田
いやあ……お役に立てるようにがんばります……!
池田
じゃあ、さっそくはじめましょう。まずは清水さんの絵を見てみたいので、何か描いてみましょうか!
清水
緊張するなあ。
池田
いきなり人間を描くのはハードルが高いですよね。先生にちなんで、「ぺんた」を描いてみてもらうのはどうでしょうか? 清水さんは、ぺんたはご存じですか?
清水
はい、もちろん!
池田
では、清水さんといっしょに、キャラクター考案者の戸田先生にも見本を描いていただきましょうか。(しばし待つ……)
清水
できました!
戸田
わたしも描けました〜。
池田
じゃあ、まずは先生の見本から見せていただきましょうか。これがわれらが『ペンギン飛行機製作所』のアイドル、ぺんたです!
「わーい!」というセリフもかわいい、ぺんた
戸田
せっかくなので、いままで描いたことのない、踊っているぺんたを描いてみました。
清水
かわいい!! なんでこんなの、すぐ描けるんだろう。
池田
たしかに。踊ってるペンギンなんて見たことないですもんね……なんで描けるんだろう。あとで聞いてみましょうね。では、清水さんのぺんたも見せていただきましょう!
清水
これです……
清水さんの描いてくれた、ぺんた
池田
……! あっ、色も塗ってくださったんですね。
清水
時間があったんで……。えーと、わたし、何度かペンギンは描いたことあったんですけどね……(顔をおおって笑い出す)
池田
自分で笑っちゃってるじゃないですか!(笑)。えーと、この、下のほうのとがっているのは、なんですかね?
清水
手です。
池田
その下の、これは?
清水
……しっぽです。
池田
しっぽ2つある!
戸田
たしかに! 2つある!
清水
ほんとだ(笑)なんだろう、これ(笑)。先生のと並べてみると、ぺんたではないですね、この生き物……。
戸田
いま、清水さんの絵の描きかたを見せていただいて、少し改善点がわかった気がします。
池田
えっ! もうですか!? すごい!
戸田
よくお子さんに「描いて」と言われるものを描いてみながら、さっそく練習してみましょう。きっと上手になりますよ。
清水
ほんとになるんでしょうか……?
戸田
大丈夫ですよ。がんばりましょ〜。
清水
はい!
犬の「奥行き」って、どう描いたらいいの⁉
池田
お子さんがよく描いてほしいとおっしゃるのはなんですか?
清水
犬とかの動物が多いですね。あとは、アニメに出てくる女の子のアイドルとか。
戸田
じゃあ、犬を描いてみましょう!
清水
わかりました!(さっそく描きながら)犬はね、結構描いたことあるんですよ。
池田
さっき、ペンギンも描いたことあるっておっしゃってましたけど……!
清水
あ、たしかに(笑)。うーん、なんかうまくいかないなあ……。いつも悩むんですけど、奥行きがうまく描けないんです。
池田
奥行き…!? そんな難しいことを考えているんですか!?
戸田
たしかに(笑)。あまり気にせず気楽に描いて大丈夫ですよ~。
清水
あれ、なんかおかしいな。もう一匹書いてもいいですか?
池田
もちろんいいですよ! あ、でもせっかくなので、いまのも見せてもらってもいいですか?
清水
なんか、なんの動物を描いても、おなじになっちゃうんですよ。
清水さんがひとりで描いた、犬
池田
たしかに、ちょっと、猫に見えるかも……。でも、「よろしくだワン」って言ってますね!
清水
あ、これ、絵がヘタな人にありがちなんですよ……「ワンワン」とか、あからさまに「犬」って書いておいたり。何を描いたかわかるようにしておきたいっていうか……。
池田
あ、めっちゃわかります! モノマネで「ぼく、ドラえもん」って言いたいときの気持ちですよね。
清水
そうなんです! 自信ないから、すぐ書いちゃう。こういうの。
池田
うんうん、わかります、わかります。
清水
先生、やっぱり奥行きが描けない。奥行きを描くには、どうしたらいいんですか?
戸田
えーと、正面から描くときは、奥行きは考えなくっていいですよ。
清水
奥行きを……考えない? 奥行きがなくなったら、犬はどうなるの!?
池田
えっ!?
清水
奥行きのない犬ってどういうこと……?
戸田
えっ……。むしろ、正面で奥行きがあるってどういうこと……? ち、ちょっと、描いてみてください。
清水
はい!
清水さんの犬、2枚目
池田
あっ! 奥行き、ある!(笑)奥行きが気になるの、この脚のところですよね。たしかにここ、どう描いていいかわかんないです。
清水
うーん……ちがうのはわかってるんですけど、どう描けばいいかわからないんです。あのー、先生は、現役で武蔵野美術大学に入っていらっしゃるんですよね。小さいころから絵は得意でしたか? やっぱり、絵って生まれつきのセンスなんじゃないかって思っちゃうんです……。
戸田
いやいや、そんなことないですよ。美大に入る人だって、最初から絵が描けるわけじゃないですし。清水さんは、どんなお仕事をされてるんですか?
清水
営業職です。
戸田
あ、すごく営業上手っぽい!(笑)でも、営業マンも、昔からおしゃべり上手な人ばっかりじゃないですよね?
清水
わたし、どちらかといえば人見知りなんです。
戸田
そうなんですか~、それと同じだから、大丈夫ですよ!
清水
ほんとですか? 勇気が出るな〜。
絵でだいじなのは「見る」ことと「アタリ」をつけること
戸田
絵で大事なのは、「どう描くか」の前に、「きちんと見ること」なんじゃないかなと思います。うまく描かなくちゃ! と思うよりも、「見る」ことを意識しながらやってみましょう!
清水
見ること……。
戸田
いま、清水さんが描いている様子を見せていただいていたんですが、ささっと「一本線」で書いているんですよね。練習するときは、もっとこまかく「アタリ」をつけながら描いていくほうが、うまくなるんじゃないかと思います。
清水
「アタリをつける」⁉ アタリってなんですか?
戸田
アタリというのは、絵を描くときに、おおまかな位置とか、バランスを決めるときの目安になる線のことです。
これが「アタリ」のようです!
清水
あ、なるほど。
戸田
とは言っても、どうやって描いていいかわからないですよね。やってみましょう〜! 清水さんの一番好きな犬種はなんですか?
清水
うーん、柴犬かなあ。
戸田
じゃあ、柴犬の写真を見ながら、練習してみましょう!
絵をじょうずに描くコツまとめ
1 絵を描くときは、「見る」ことを意識する
2 書きだす前に「アタリ」をつける
1 絵を描くときは、「見る」ことを意識する
2 書きだす前に「アタリ」をつける
次回予告
「まったく絵のセンスがない……」と悩む、清水さん。そこに「アタリをつける」という方法を先生が提案しました! アタリ……? それで、本当に絵がうまくなるの? 次回、驚きの結果とすぐできる実践方法が!
撮影:鈴木江実子/文:池田(所員)