運動会直前!子どもの足が速くなるコツ【中編】
2017.09.06

『ペンギン飛行機製作所』の新井です。運動会直前に「わが息子・いぶきの足を速くしたい」という超私的な動機ではじまったこの企画。ランニングコーチの梅原望先生(通称のん先生)に親子で弟子入りし、「50メートルを8秒台で走れるようになりたいんです!」とご相談をしました。いぶきの現在のタイムは「9秒23」。
そこで、のん先生は、速く走るための「3つの秘訣」を教えてくださることに。前回教わった「秘訣1」は、走るときの「姿勢」について。10〜20度くらい前傾し、お尻を決してうしろに残さず、つま先から着地することが大切でした(「運動会直前!子どもの足が速くなるコツ【前編】」)。
さて、今回は秘訣2、3を一気にお届けします。「腕を大きく振っちゃダメ」というのん先生の言葉に、イマイチ納得のいかない気持ちがあったので、ちょっと突っ込んで聞いてみることにしました。全3回の連載の2回目です。今回も目からウロコのコツが満載ですよ。
そこで、のん先生は、速く走るための「3つの秘訣」を教えてくださることに。前回教わった「秘訣1」は、走るときの「姿勢」について。10〜20度くらい前傾し、お尻を決してうしろに残さず、つま先から着地することが大切でした(「運動会直前!子どもの足が速くなるコツ【前編】」)。
さて、今回は秘訣2、3を一気にお届けします。「腕を大きく振っちゃダメ」というのん先生の言葉に、イマイチ納得のいかない気持ちがあったので、ちょっと突っ込んで聞いてみることにしました。全3回の連載の2回目です。今回も目からウロコのコツが満載ですよ。

教えてもらった先生
梅原望(うめはら・のぞむ)さん
パーソナルトレーナー。2010年に立ち上げたランニングクラブ「Runbbits」で多くのランナーを指導し、市民ランナーから国際ランナーまで幅広く育成をしており、キッズの指導にも定評がある。自身がオーナーを務める東京都港区白金の「Personal Training Studio UNO」をメインに活動中。カイロプラクターの資格も持つ。
Personal Training Studio UNO
【秘訣2】腕は大きく振ってはダメ!
加速を生みだす正しい振り方
梅原
速く走る秘訣その2! それは「腕の振り方」です!
新井
あっ、それが大事なのはわかるかも! ぼくもいぶきには「腕を大きく振るように」といつも教えてます。
いぶき
そう。お父さんにいつも注意されるから、ちゃんと大きく振ってます。でも、あんまり速くなってる気がしないです。
梅原
じつは……それ、お父さんの教え方がちょっとよくないかもです。いぶき君の走り方を見て、それを感じました。
新井
え! そうなんですか⁉ どうして腕を大きく振っちゃいけないんですか?

梅原
ダメじゃないのですが、ちょっと言葉が足りないですねぇ。
新井
昔、そう習った記憶があったんですが……(しょんぼり)。
梅原
「大きく腕を振る」、これは間違っていません。ただし大事なのは「どの方向に大きく振るか」ということなんです。いぶきくん、大きく振ってみてくれる?
いぶき
はい。

梅原
そうだよね。ただ「大きく振りなさい」と言うと、いまみたいに腕を体の前で「横振り」しちゃう子が多いんですよ。
新井
ああ、横振りかあ。たしかに、いぶきはそうやって走ってるかも。
梅原
前に向かって走ろうとしているのに、横に腕を振ったら、ちがう方向に力がかかるわけですから、進むのにじゃまになっちゃうでしょ。

新井
!!!!
梅原
腕の振り方を教えるコツは「大きく振る」と言うのではなくて、「体のうしろにむかって、大きく引く」と言ってあげることです。どのくらい引くかというと、だらりと腕を下げたときのひじの位置に、手がくるくらいまでぐっと引きます。
新井
胴体の真横にくるくらいまで、手を引くわけですね。
梅原
そうです。専門用語では「エルボーtoハンド」と言います。これくらい、ぐっと引く。

新井
結構引きますね。いざやってみると、ちょっと肩がきゅう屈な感じがします。
梅原
そうです! そのきゅう屈さが、とっても大事なんです! 筋肉には、ギリギリまで引っ張ると、そのぶん逆方向に戻ろうとする力が働きます。だから、「大きく引く」ことで「うしろから前に大きく戻る力」が、勝手に働いてくれるんです。
新井
おお! なるほど!! うしろがきゅう屈な分、その反動で前にすごく振りやすい‼︎
いぶき
本当だ! スイスイ振れる!

梅原
いくら腕を横に振っても、ムダに疲れてしまううえに、一生懸命振ろうとして体がつんのめってしまって、かかと着地のブレーキング走法になってしまうことがあります。一方、うしろから前に大きく振れば、前進するエネルギーになって走りが加速するんです。
新井
「大きく振る」ではなく「うしろに大きく引く」と教える。これは目からウロコですね。本当に振りやすい!
梅原
いい練習方法がありますよ。お子さんの真うしろに立って手の平を開き、「ここにひじをぶつけてみて」と言うと、ひじをうしろに引く感覚を覚えさせやすいですよ。いぶきくん、先生の手にひじが当たるように引いてみて。

梅原
そうそう。そこがひじを引いたときの正しいポジション。
いぶき
こんなにうしろなんですね。
梅原
そうなの。いままでと全然ちがうでしょ?
いぶき
はい、全然ちがいます。
梅原
新井さんがいぶきくんに腕の振りを教えるときは、こうやって真うしろに立って、ポジションを教えてあげてくださいね。
新井
はい、わかりました!
梅原
それと、ずっと言いたかったんですが、新井さんの腕振りのときのその手も、じつはダメなんです。
新井
えっ! なにか間違ってますか⁉
梅原
新井さん、手をギュッと握っちゃってますよね。
新井
はい。握ってますが……。
梅原
短距離のときの手は、「グー」ではなく「パー」のほうがいいんです。
新井
ええっ? 昔からみんなこうやってたのに……。だって小学校の徒競走で「位置について」って号令がかかると、みんなグーの手で構えてませんでした? みんなそうじゃないの?
いぶき
うん、みんなグーだと思う。
梅原
そう、みんなグーですよね。でもそれは、やらないほうがいいです。速く走ろうと思うと、こぶしを握ってコンパクトに腕を振ろうとする人は本当に多いんですが、体全体にムダな力みが生まれて、スムーズに動かなくなってしまうんです。
新井
なんと……小学校の頃に教えてほしかったです(泣)。
梅原
お父さん、落ち込まないで!(笑) パーでピシッと伸ばしきってしまうと、やはり力みが生まれるので、少しゆるめにふわっと、手が開かれている状態がベストです。

【ポイント!】
○腕は「大きく振る」のではなく、「ひじをうしろに大きく引く」
○走るときの手の形は、グーではなく軽くふわっと開くくらいに
○腕は「大きく振る」のではなく、「ひじをうしろに大きく引く」
○走るときの手の形は、グーではなく軽くふわっと開くくらいに

【秘訣3】イメージと体の動きを一致させる、スキップ・トレーニング
梅原
速く走れるようになる秘訣その3! 最後の秘訣は……
新井
(ドキドキ)
梅原
「スキップ」です!
新井
スキップ? スキップって、あのスキップですか?
梅原
そうです。あのスキップです。
新井
なぜスキップで足が速くなるんですか……?
梅原
足が速いとか運動神経がいいって言われている子は、自分の体を、頭に浮かべたイメージ通りに動かすことができているんです。逆にそうでない子は、イメージと体の動きが合っていない。子どもの運動会で突然走ることになったお父さんを思い出してください。
新井
よくネタにされるやつですよね。若い頃と同じように走ろうとして、足がもつれて転んだり……。
梅原
そう! それがまさに、イメージと体の動きのギャップです! 体は昔とちがっているのに、普段運動していないからいまの自分の体に合ったイメージを作れていない。それでは速く走れるわけがありません。一生懸命走ろうとすればするほど、そのギャップは大きくなります。
新井
耳が痛いですね。子どもにいいところを見せようとしてがんばったのに……。
梅原
子どもも同じです。ちゃんと自分のイメージ通りに体を動かすことができれば、もっとうまく体が使えるようになります。
新井
なるほど。
梅原
あとは小学生くらいですと、急に体が大きくなったりしますよね。そうするとやはり体の動きとイメージにギャップが生まれやすいんです。そこで考えられたのが「キッズ・コーディネーション」というトレーニングです。
新井
キッズ・コーディネーション? なんだか難しそうですね。
梅原
いえいえ。名前はややこしいですが、そんなに難しいことをやらせるわけじゃありません。短距離走に役立つキッズ・コーディネーション、この代表的なものが「スキップ」なんです。
新井
あ、ここでスキップが出てくるんですね! でもスキップって言っても、ただ普通にスキップするわけではないですよね? なにか特別なスキップでもあるんでしょうか?
梅原
いえ、普通のスキップですよ。
新井
え!
梅原
まずは小さくスキップをするところからはじめて、だんだん腕と体を大きく使うようにして、弾むようにスキップします。歩幅の小さい子は、スキップも小さくなりがちです。大きくダイナミックなスキップをすることで、大きな動きを体が覚えて、自然と大きな歩幅で効率よく進むことができるようになります! つまり、足が速くなるんです!
新井
小さいスキップから、じょじょに大きなスキップへ……。(メモメモ)
いぶき
やってみてもいいですか!?
梅原
おっ! やる気満々だね! じゃあやってみようか。
いぶき
はい!
梅原
じゃあ、まず小さくスキップ、小さくスキップ、小さくスキップ……

梅原
ここから大きくスキップ、大きくスキップ、大きくスキップ……

梅原
はい走って! 走って! 走って! そうです! 全力で! はい、オッケーです。

新井
ハアハア……。小さなスキップからはじめると、歩幅がだんだん大きくなっていくのが実感できますね。
梅原
中盤の伸びで悩んでいる子にはとても有効ですよ(新井さん、スキップで手足そろってたな……)。
新井
なるほど。ではスキップができない子はどうしましょうか? テレビとかでも、できない人を見たりするんですが(手と足そろったのバレてないな)。
梅原
そんなときはウォーキングでもいいです。そのときは右足、右足、左足、左足と2回ずつ踏んでいきます。そうすると体の動き方の確認にもなりますし、自然とスキップもできるようになりますよ。
新井
それはうれしいですね! できないことができるようになるってすごいモチベーションだと思います!
【ポイント!】
○小さいスキップと大きいスキップで、イメージと体の動きを一致させる
○大きいスキップで大きな歩幅の走りを身につける
○小さいスキップと大きいスキップで、イメージと体の動きを一致させる
○大きいスキップで大きな歩幅の走りを身につける
新井
のん先生、今日はご指導いただきまして、ありがとうございました! 今週1週間、教わったことの復習をしてきますので、来週もう一度だけお付き合いいただけますか?
梅原
もちろんです! そのときもう一度、50メートルを計りましょう。8秒台が出せるように、親子で1週間がんばってくださいね。
いぶき
はい! がんばります!
新井
今日は本当にありがとうございました!
いぶき
ありがとうございました!
【おさらい!】
速く走るための秘訣はたった3つ!
①姿勢は前傾で、お尻を突き出さない
②腕は「大きく引く」を意識して、手はふわっと開く
③小さいスキップと大きいスキップで動きとイメージを一致させる
速く走るための秘訣はたった3つ!
①姿勢は前傾で、お尻を突き出さない
②腕は「大きく引く」を意識して、手はふわっと開く
③小さいスキップと大きいスキップで動きとイメージを一致させる
次回につづきます
次回予告 *9月9日(土)配信予定
のん先生に教わった「3つの秘訣」を胸に、新井親子は1週間の特訓を行います。そして、再びいどむ50メートル測定。前回タイムは「9秒23」。いぶきは必死の走りで8秒台を出せるのか。親子の挑戦物語、次回ついに感動のフィナーレを迎えます。

撮影:鈴木江実子/文:新井(所員)